14日間の外出自粛期間を満喫できるか試してみた 〜料理編〜

【今までの記事】

立志編:自宅待機期間の14日間でやりたい4つのこと。

イメチェン編・悟り編:

14日間の外出自粛期間を満喫できるか試してみた 〜イメチェン編・悟り編〜

 

煮込み料理に挑戦しよう

母親が新型コロナウイルスに罹り、濃厚接触者認定され14日間の外出自粛を言い渡された。

 

何もしないと気分が落ち込んでしまうと思い、家にずっといる時しかできなさそうな4つの目標を立てた(自宅待機期間の14日間でやりたい4つのこと。)。

 

今回は、「③めちゃくちゃ時間のかかる煮込み料理を作る」に挑戦した結果を料理編としてお届けしていきたい。

普段そこまで料理しない独身男性が、いきなり煮込み料理に挑戦したらどうなるのか、刮目せよ。

男のロマンの塊

実は、ずっと作りたい煮込み料理があった。

www.youtube.com

 

料理YouTuber・ゴジさんの動画で見かけた、100時間かけて作る牛タンシチューだ。

 

大きい肉を煮込んで食すという、男のロマンの塊のような料理。

牛タンもビーフシチューも大好きなのだから、おいしくないわけがない。

作るタイミングをうかがっていたが、なかなかまとまった時間を取れないでいた。

 

いい機会だから、作っちゃおう。

 

食材紹介

用意した食材は以下の通り。

なお感染対策のため、野菜や調味料は同じく検査を受けて陰性だった父親が他の食材を買い込むついでに買ってきてもらい、買うのが大変そうな食材は通販を利用して揃えた。

①牛タン先ブロック 1kg

塊の牛タンを購入するつもりだったが、予算をオーバーしそうだったため一番安いタン先のブロックに変更。情けない。

すでに軌道が逸れているが、気にせず次に行こう。

②【悪魔の蔵】コンチャ イ トロ カッシェロ デル ディアブロ カベルネソーヴィニヨン

煮込む際に赤ワインはたっぷり使うので、ボトルを購入。

ちなみにこのワインを選んだ理由は、名前がカッコいいから。

オタクは悪魔(ディアブロ)という単語に弱いのだ。

③野菜

ニンジン、タマネギ、セロリ、ニンニクを用意。

肉の匂いを消し、香りを染み込ませるために使う。

煮込んだら捨ててしまうらしい。なんと贅沢な料理なのだろう。

④調味料

デミグラスソース缶、バター、トマトペースト、ウスターソースバルサミコ酢

動画ではデミグラスソースを作っていたが、料理初心者の自分が作るにはハードルが高そうだったので市販のものを用意した。

 

それではいよいよ調理開始!

 

調理編 仕込み〜煮込み

1.肉を解凍する

届いた牛タン先ブロックは冷凍されていたため、1日かけて解凍する。

冬場だったので常温で放置しても腐らせることなく解凍することができた。

今回は600gぶんくらいを使用して、残りは後日ハンバーグにでも混ぜてみよう。

2.野菜を切る

ニンジン1個、タマネギ1個、セロリ1本、ニンニク1個を適当な大きさに切る。

料理初心者にとって「適当な大きさ」ほど難しいものはないが、煮込んだらグチャグチャになるのでめちゃくちゃ適当に切ることにした。

3.1と2をワインに漬け込む

ジップロックなどに切った野菜とタン先を入れ、そこにワインをドバドバと投入する。

このとき牛タンを野菜でサンドするように配置するとよいらしい。

こんな感じで冷蔵庫に1日放置する。

4.液と野菜と肉を分ける

翌日。

袋を開け匂いを嗅いでみると、ワインの香りの角が取れたような気がする。

水切りボウルとボウルを重ねたところに中身をダバっと入れ、液体を取り分ける。

液体は鍋の中へ。

固体は肉と野菜を分けておく。

5.肉を焼く

フライパンにバターを敷き、肉を焼く。こうすることで、香ばしさがアップするとかしないとか。

ワインに漬けたことで肉が赤黒くなっており、焼き加減がまったくわからない。

ので焦がさないようにちょっとだけ焼いたら鍋の中へドボン。

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6.野菜を焼く

続いて、野菜も焼く。こうすることで、香ばしさがアップするとかしないとか。

いい感じに焼けたと自分に信じ込ませたら、同じく鍋の中へ。

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7.3時間煮込む

いよいよ煮込みに入っていく。

汁と野菜と肉が入った鍋に火をかけ、弱火で煮込んでいく。

もし汁が足りなさそうだったら、ワインなり水なりを追加する。

煮込みはじめはアクと油が出てくるので、しっかりと取ること。

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水分がなくなったら適宜水を足すといい。

今の時点ではまだ悪魔を召喚する時の供物だが、果たしておいしいタンシチューは作れるのだろうか?

調理編 ソース作り

8.肉と野菜を取り出す

煮込み終わったら、再び肉と野菜とスープを分ける。

肉は冷蔵庫に入れ、休ませておく(休ませるってなに?)。

ちなみにこの時点でも魔物の内臓みたいな見た目をしていた。

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野菜はもったいないが捨てる。

スープはこの先使うので、ボウルなどに入れておこう。

9.デミグラスソースを伸ばす

続いてソース作りに取り掛かる。

市販のデミグラスソース缶1缶、トマトペースト大さじ1を入れ、煮汁で伸ばす。

ワインと野菜と牛タンの旨味が詰まった煮汁を使うことで、市販のデミグラスソースをより深い味わいにすることができるのだ。

その後味を見ながら、ウスターソース適量、バルサミコ酢適量、塩適量を入れる。

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10.9に飴色タマネギを投入する

ソースに旨味と甘味を加えるため、飴色に炒めたタマネギを投入する。

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水分を飛ばし、水分がなくなったら水を入れて炒めて…を繰り返していく。

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……どこまでやればいいんだろうか。

飴色といっても、どんな飴なのかによって色は変わってくるではないか。

しかも今時茶色い飴を食べる機会はほとんどない。

全国の料理研究家の方には、ぜひ万人に伝わる飴色の表現方法を考案していただきたいところだ。 

そんなこんなで純露の色が薄いほうくらい、カラーコードでいえば#c59a63くらいまで色づいたら、ソースの中にいれる。

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11.肉をソースに入れる

肉が休まりソースも冷めたら、ソースの中に肉を入れる。

本当は冷蔵庫の中に入れて1日放置したほうがいいのだろうが、自分は時間の都合上6時間程度放置しておくことにした。

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一気にシチュー感が出てきた。食べるのが楽しみ。

調理編 完成

12.11を温める

それではいよいよ実食タイム。

ソースに火をかけ、焦げ付かないよう弱火〜中火で温める。

いい香りが部屋中に充満していて、死んだらタンシチューの匂いの線香を焚いてほしいと思ったくらいだ。

13.盛り付ける

12を器に盛り付ける。

マッシュポテトと適当な草(名前忘れた)を盛り付け、仕上げに生クリームをかければ、ついに牛タンシチューの完成!

とてもいい見た目に仕上がったのではないだろうか?

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13.おいしく食べる

料理はおいしく食べるまでが料理。

一口頬張ると、しっかり煮込まれて柔らかくなった牛タンの旨味が口いっぱいに広がる。

ワインと香味野菜の芳醇な香りが肉に移っており、時間をかけた甲斐があったと実感できるうまさ

手前味噌だが、お店で出てくるレベルの味になったと思う(デミグラスソースは市販だけど)。

将来仕事に困ったら牛タンシチューやさんでも開こうかと思えるくらい、大満足であった。

検証結果

今回まとまった時間ができたからとチャレンジしてみた、牛タンシチュー。

漬け込む時間も含めると調理にかかった時間は30時間くらい。

実調理の時間はおそらく4時間程度だが、アクを取ったり焦げないよう見張ったりと、思っていた以上に面倒だった。

改めて感じたのは、おいしい料理を作ることの大変さだった。

前日から作るメニューを考え、その準備をしながら他の食事を作り、さらにめんどくさい手間をかけて調理するのはかなり大仕事。

これを毎日している人にはただただ畏敬の念を抱くばかりだ。

 

検証結果をまとめると以下のようになる。

 

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ステイホームな年末年始は、料理を作ってくれる人の凄さを思い知るためにも手間のかかる料理にチャレンジすることをおすすめしたい。

 

 

14日間の外出自粛期間を満喫できるか試してみた 〜イメチェン編・悟り編〜

【今までの記事】

立志編:自宅待機期間の14日間でやりたい4つのこと。

 

いい男になるために

母親が新型コロナウイルスに罹り、濃厚接触者認定され14日間の外出自粛を言い渡された。

 

何もしないと気分が落ち込んでしまうと思い、家にずっといる時しかできなさそうな4つの目標を立てた(自宅待機期間の14日間でやりたい4つのこと。)。

 

まずは、「①髭を伸ばす」「②禁欲」に挑戦した結果をイメチェン編・悟り編としてまとめてお届けしていきたい。

2週間髭を伸ばすと、どこまでダンディな男になれるのか?

そして2週間で人はどこまで悟りの境地に近づけるのか?

 

①ひげを伸ばす。そしてダンディな男をめざす。

自粛期間に入るまで、私は髭剃りを欠かしたことがなかった。清潔感のあるキャラクターでいたかったからだ。

しかし人に会わないのであれば、その必要もなくなる。
これを機に、14日間一切髭を剃らなければどんな姿になるのか検証してみることにした。

果たして、2週間髭を伸ばせばオダギリジョー山田孝之のようなダンディな男になれるのだろうか?

※しばらく、小汚くて単調な画像が並ぶことになります。お目汚し失礼します。 

1日目のようす

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すでに髭が少し伸びているが、気にしないでいただきたい。

今までほぼ毎日髭を剃っており、欠かしたとしてもせいぜい2日連続だった。

髭が生えた自分の姿を見ることで、己の新しい魅力に気づけちゃうのでは?という期待に心が躍る。

そう、この時点までは。

7日目のようす

では続いて、7日が経過した後の写真がこちら。

 

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思っていたのと違う。

驚くほどに清潔感がなくなった。

7日目にして、「清潔」から「ダンディ」の壁を越えて「不潔」エリアへと侵入しかけている。

オダギリジョーというより、なすび(タレント)に近い。

鼻下をよくよく見ると、髭がまばらになっている。生えそろっていないようすも不潔感を加速させている一因だろう。

1週間経過した時点で、ダンディな男を目指すには計画的に髭を生やす必要があると痛感したのだった。

14日目のようす

そして、いよいよ14日目。

7日目ですでに理想の姿から遠のいていたが、果たして。

 

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「不潔」を通り越して「獣」になった。

ウルヴァリンの一歩手前まで来ている。

人間が2週間髭を放置すると、ここまで獣に近づくとは思いもよらなかった。

特に獣感を出しているのは、頬に生えている毛である。

髭が似合っている芸能人の写真を見てみても、ここに髭を生やしている方はほとんどいなかった。

単に伸ばすだけでなく、適切な部位に適切な手入れを施すことこそ、髭の似合うダンディな男になるために必要不可欠である。

 

1本だけ長さを測ってみると、1.1cmであった。

本来は複数本調べて平均をとるべきだろうが、抜くと痛いので勘弁していただきたい。

もちろん個人差もあるだろうが、髭を伸ばそうとしている方の参考になれば幸いである。

 

検証結果

14日間髭を放置したところ、以下のような結果が得られた。

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そして、検証結果をマッピングすると以下のようになる。

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ちなみにその後、髭は鬱陶しくなったため全て剃った。

剃る時の爽快感は今まで味わったことのないものだったので、この感覚を味わうためだけに髭を伸ばすのもアリかと思う。

もしまた髭を伸ばすことがあれば、なりたいビジョンを明確にイメージして計画的に髭を整えていきたい。

 

②禁欲オタクはアニメキャラのエッチな夢を見るか

続いての挑戦は、14日間性的なコンテンツを一切断ち禁欲すると人間はどうなるのか?というもの。

平たく言えばオ○禁である。

外的刺激のない今だからこそ、最長記録の6日間を超えるオ○禁に挑戦してみたい。

長期間のオ○禁は、私に何をもたらすのだろうか?

〜7日目 

結果から言ってしまえば、かなり楽勝だった。

性欲は強いが精力には恵まれなかったので、そこまでの頻度で致さなくても正直問題はないようだ。

ただし今までは致さなくともエッチなものは度々目に入れていたので、性コンテンツを全て断つとどんな変化が訪れるかというと…

エッチな夢を見るようになった。

普段は淫夢(原義)などほとんど見ないのに、検証を始めてからは3日連続で見ることもあった。

一番印象に残っている夢は、ぷよぷよ(パズルゲーム)でぷよを消すと服が消えるという「脱衣ぷよぷよをプレイする夢。

検索したところ脱衣ぷよぷよはまだ世の中に存在していなかったので、もしかするとビジネスチャンスかもしれない。

〜10日目

10日目を超えたあたりで、下半身に違和感を感じるようになった。違和感といっても痛みではなく、じんわりとする感じ。排尿時にも染みるような感覚がある(痛みはない)。

人は射○せずとも尿と一緒に精○を放出するというし、その現象が起きただけなのだろうか。少し怖くなった。

また7日目までと比べて、淫猥な気持ちになることが多くなった気がする。

エッチなものはなるべく見ないようにしていたが、Twitterのタイムラインで流れてきた健全な絵や下着の広告など、普段はエロさを感じないものに少なからず興奮するようになっていた

性の目覚めはじめである中学生の時分を思い出し、追想に耽るのであった。

〜14日目

ムラムラした気持ちはより大きくなっていく。

しかし男として、一旦心に決めたことを曲げるわけにはいかない。

性衝動を別の場所にぶつけるべく、読書や執筆に精を出す(本当の精は出さないけど)日々。

いつしか本を読むのがたまらなく楽しくなっていた。

(自粛期間に読んだ本の紹介は、後日別記事で掲載予定。お楽しみに)

芸術や道徳はリビドーが変形したことで生まれたというが、それを身をもって実感することができた。

オ○禁は自らを律するだけでなく、文化的創作意欲さえも生み出すことができるのだ

 

検証結果

14日間の禁欲によって得られた結果をまとめると、以下のようになる。

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しかし正直なところ、たった2週間では肉体的な変化まで観測することができなかったので、あと1週間はオ○禁を続けてみたいと思う。

もし目立った変化がこの身に訪れた時は、改めて記事にしよう。

引き続き頑張っていくので、ぜひ応援していただきたい。

自宅待機期間の14日間でやりたい4つのこと。

濃厚接触者認定、自宅待機の始まり

母親が新型コロナウイルス感染症に罹り、父と自分が濃厚接触者として認定された。

 

自宅待機期間は14日間。

12/21〜1/3という、クリスマスとお正月がいっぺんにつぶれる最悪のタイミングだ。

 

ほとんど家から出られず、恋人とも友人とも会えない。

最近は毎日家でトレーニングをしていたが、体調が悪くなったらそれもできなくなるだろう。

いったい自分は何を楽しみに生きれば良いのだろうか……。

 

このまま無意味な日々を送っていても、心が潰されてしまうだけだ。

 

そこで私は思った。

逆に14日間家に引き篭もった時にしかできないことをすれば、つまらない日々を有意義なものにできるんじゃね?

 

以下、自宅待機期間の14日間でやりたい4つのことを書いていきたい。

そして14日経過した後に記事を更新し、果たして有意義だったかを検証していければと思う。

①髭を伸ばす

毎日髭を剃っている自分が、14日間髭を整えることもせず伸ばしっぱなしにしたら、どんな風になるのか?

普段は週に2日程度出社する必要があったが、出社禁止となった今では周りの目などまったく気にしなくてよい。知的好奇心の赴くままに、髭を生やしまくっていきたいと思う。

目指せオダギリジョー

 

②禁欲

3大欲求を極限まで削いだら人間はどうなるのか、とても興味があった。

外的刺激のない状況だからこそ、自らを律するいい機会かもしれない。

しかし睡眠と食事を削ってしまうと、免疫が低下し感染リスクが上がってしまう。

ということで、この14日間は淫らな事物から遠ざかった生活をしたい。

平たく言えばオ○禁である。

オ○禁だけでなく、少しでも性的な要素のあるコンテンツを目に入れないように努力していこうと思う。

せいぜい14日間の禁欲でどこまで悟りに近づけるのか、乞うご期待。

 

③めちゃくちゃ時間のかかる煮込み料理を作る

まとまった時間がないとできないことでお馴染みの煮込み料理。

土日まったく外に出ないなら、30時間煮込むような料理も作れるのではないだろうか?

トロットロに煮込んだ肉や野菜を頬張って、顔面トロットロにしていきたい。

もし体調が悪くなったら米をトロットロに煮込んだもので勘弁してほしい。

 

④本を毎日1冊読む

ライターとして活動している自分だが、最近まったく本を読めていない。

そこでこの機会に毎日無理やり本を読む時間を確保したら、読書の習慣がつくのではないだろうか?

毎日とにかく1冊。小説でもエッセイでも児童文学でも、ジャンルは問わない。

 

この14日間を意義のあるものにすべく頑張っていきたいので、どうか応援していてほしい。

そして本記事が、私と同じ状況になった方が孤独と不安に潰されないための一助になれば幸いである。

 

 

 

われわれに刻まれた「失禁」への恐怖

「もしかして、自分は今クソを漏らしているのではないか?」

そんなえも言われぬ不安を抱いたことはないだろうか。

 

ちなみに私はしょっちゅうある。

つい先日、近所のプールに泳ぎに行った時のこと。

泳ぎ始めたばかりの時には10名弱ほど泳いでいたのに、1時間も経たないうちに客は3人に減ってしまった。

そこで私はこう思う。

「もしかして、自分がクソを漏らしたせいか?」

 

トイレで小を済ませた後、何やら尻のあたりに違和感がある。

「もしかして、尿と一緒にクソも出てしまったか?」

 

電車内に、どういう訳か異臭が漂っている。

「もしかして、自分のクソの匂いか?」

 

結論から言うと、今まで述べた「失禁への懐疑」はすべて杞憂であった。

実際問題、大人になってから失禁をしてしまったことは一度もない。

幼い頃に漏らした記憶はあっても、トラウマといえるほど深く覚えているわけではない。

 

ではなぜ、私はこんなにも脱糞していないか不安になりながら生活しているのだろうか。

 

それはおそらく、「失禁」という行為に対しての恐怖を魂に刻み付けられたからだ。

 

 

生まれて初めて抱く嫌悪

人間が生まれて初めに感じる不快感といえば、「空腹」「不眠」「排泄後のムレ」である。

 

そのうち「空腹」「不眠」は、放置しておけば命を脅かされかねない。

 

しかし「排泄後のムレ」については、(皮膚がかぶれる危険性はあれど)命を落とすほどの危険性はないはず。

 

だからこそ、「命の危険はないが嫌悪するもの」として初めて認識するのが、「失禁とそれに伴う不快感」なのだ。

 

その嫌悪が、「失禁への恐怖心」として人々の心に死ぬまで残り続けるのではなかろうか。

 

 

文明の進歩・排泄の枷

失禁には社会的恥辱という側面も大きい。

 

大の大人が人前でクソを漏らすことにより、「迷惑者」「恥ずかしい人間」「負け組」と笑い者になるのが恐ろしいのだ。

 

社会の進歩と科学技術の発展により、人々はいつでもしたい時に排泄行為を行うことができるようになった。

 

しかしそれでも、「漏らしたらどうしよう」「トイレまで間に合わないかも」という焦燥は人々を悩ませ続けている。

 

文明が進歩しすぎたせいで、その場で脱糞するという選択肢を失ってしまったのは実に滑稽である。

 

 

シュレディンガーのクソ」

クソを漏らしているのか、いないのか。それはトイレで下着の中を確認するまでわからない。

 

漏らしている感覚がなかったとしても、常に抱える「失禁への恐怖」がノイズとなり安堵できないからだ。

 

「もしかして、自分は今クソを漏らしているのではないか?」

 

そんな不安感を臀部に抱えつつも、私はこれからも何食わぬ顔で生きていく。

 

無駄な足掻きとして、腸内環境と括約筋を精一杯大事にしながら。